オルテガと斧

最近、ドラクエ3のHD-2D版をプレイした。
オルテガのエピソードがたくさん追加されていた。旅の中で耳にするオルテガの英雄譚は枚挙にいとまがない。
各地で、なぜあんなにもオルテガは人気者だったのだろうか。
注目したいのは斧だ。斧だから、オルテガは人気だったんじゃないだろうか。

「斧なのに」

ドラクエの勇者において斧を武器として戦うのは珍しい。基本的に勇者といったら剣か、でかい剣だ。
そこを、オルテガときたら「微妙にでかい斧」だ。これは印象に残る。男の子なら一度は斧が気になる時期ってあったと思う。
しかも軽装。昔の作品ではパンツ一丁に覆面を被ってたりもしたが、軽装という意味では現在の作品と大差ない。
オルテガの戦いぶりを実際に見ていない町の人でも、その出で立ちを聞くと興味を惹かれたに違いない。「え?斧なのに勇者なの?」「え?鎧着てないの?」
野球に1ミリも興味がない人でも、大谷について「なんか二刀流ですごいらしい」くらいの情報は持っているように、どんなに世界の命運に興味のない住民にも、オルテガは「なんか斧で勇者らしい」程度には知られていたはずだ。
取っ掛かりになるのは斧だと思う。斧なのに山賊じゃない、斧なのに優しい、斧なのに勇者……
つまり斧とのギャップ。みんな斧に惑わされている。これこそがオルテガ最大の武器なのだ。

敵の認識

オルテガと相対した敵は、どのような印象を持ったのだろうか。
実際に戦ったのかは不明だが、バラモスブロスのセリフにそのヒントがある。

「オノを巧みにあやつる大柄な男」。
やはり斧。覚えられ方の起点がまず「オノ」だ。
斧は扱いが難しいらしい。刃が重く、遠心力を活かした一撃から生まれる破壊力が特徴の武器となると、たしかに「オノを巧みにあやつる」のは技量がいるだろうし、だからこそバラモスブロスも一目置いていたのだろう。
これが剣だの槍だのでは、記憶に残らない。「剣を巧みにあやつる」とはわざわざ言わない。残る特徴は「大柄な男」のみになってしまう。これでは、魔物からすると見分けがつかないだろう。あらくれと一緒だ。

加えて、あの軽装だ。
「材質もよく分からないボロボロの服を一応着ている」という印象で、冒険の途中で兜を失って以降、身を守ってくれそうなものは盾くらいだ。
斧で、軽装で、たった一人。当然敵は油断する。
体こそ筋骨隆々だが、雑兵からすると格好の的だろう。つまり「ノコノコ一人でやってくるとは」とか言うタイプの敵だ。一人で辿り着いているからこそ不気味に感じるべきところを、「ノコノコ」と形容しちゃうタイプの敵。
そんな敵が油断しているところを、俊敏な斧の一撃で粉砕する。早く片がつくように斧を選んだんじゃないだろうか。そんな相手に時間をかけるのも惜しい、という意志を感じる。
それを繰り返すうちに、バラモスブロスほどの知能はない魔物たちもオルテガの存在を認識するはず。
そこで重要になるのが斧だ。人間のオスの見分けがつかなくとも、「大柄」「軽装」「斧」の情報量が加わって、オルテガを認識していたに違いない。

ドワーフもついてきた

オルテガの旅には、ドワーフのお供がいたらしい。
人間嫌いであるドワーフがなぜオルテガの旅に同行したのか?そう、斧だからである。
ドワーフの武器といえば斧。「斧を巧みに操る勇者がいる」なんて話を聞けば、気になるのは明白。

きっとこんな出会い方だ。
ある時魔物と戦うオルテガを見かけ、「斧と盾」なんていうこだわり抜いた戦闘スタイルを目の当たりにする。
持ってる斧もなんか見たことない斧だ。声をかけてみる。
話してみると、いかつい見た目に反して優しい。旅の目的は魔王討伐だという。「え?斧で?」もうこの時点でドワーフは相当応援したくなってるはず。
「その斧どこで買ったんですか」から斧にまつわる話は深まり、なんなら斧ジョークも飛び出した可能性もある。「ポカパマズ」なんてネーミングができる人だぞ。相当ユーモアあふれる人物だったに違いない。
第一印象で「この人斧にこだわってるな」からの斧トーク。好印象が止まらない。
人間嫌いといえども惹かれてしまうのは無理からぬことだ。
かくしてドワーフはオルテガに同行することを決めた。

あいつしかいない

ここからクリア後のネタバレが入るので注意してもらいたいのだが、
こんなにも「オルテガといえば斧」なのに、このゲームには一つ惜しい点がある。それを書きたい。

本編クリア後に、「しんりゅう」というモンスターと戦える。
しんりゅうを倒すと、ドラゴンボールの神龍よろしく願いを叶えてもらえる。一度きりではなく、倒すたびに一つずつ願いを叶えてくれる。

その中に、「オルテガ復活」と「追加ダンジョン出現」の願いがあり、オルテガを復活させるとアリアハンの家で再会できる。
一方の追加ダンジョンではいくつかの試練があり、試練のお題は様々だが、その一つに「斧か杖を装備して進むダンジョン」がある。

「そうか、じゃあ勇者は斧を装備できないからPTから外して……」と考えるかもしれない。ちょっと待ってほしい。違うだろう。
いるだろ、斧を使う勇者が。家に。

追加ダンジョンでは斧を装備する必要がある、勇者は斧を装備できない、クリア後は勇者をPTから外せる、家にオルテガが居る……
どう考えてもオルテガの出番じゃないか?オルテガがPTに加入すれば、全てが繋がるじゃないか。
代わりに勇者が家に居れば、母親をまた一人残すような、さみしい思いをさせずにすむし。
初めて「斧(と杖)限定のダンジョン」と聞いたとき、一瞬期待した。実家に帰り、父さん出番だ!と声をかけてみたが、親父はついてきてくれなかった。かなしい。
アプデで来ないかな、オルテガ加入イベント。

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